はじめに
Shellの戦後初の減配に関して以下に記録しました。
減配はもちろん残念なのですが、ちょうどいいので配当金と株価の関係に関して考えをまとめておこうと思います。
株価のリスクプレミア
世の中では、リスクフリーの投資先として米国債権があります。Treasury bondとも言われ、これを買っておけばインフも加味した上で、お金が増えることもなければ減ることもない。そう言った投資先です。
何かのリスクがある投資先に関しては、このTreasury bondの利回りにプラスして、個別の投資先のリスクに見合うリターンが設定されます。そのリスクも何段階かに分かれて設定され、例えば、株式であればマーケットリスク(株式に投資した際に、投資先の銘柄にかかわらず設定される共通したリスク)、インダストリー毎のリスク(業種によって負うリスク。例えば、PGのような生活必需品を扱っているインダストリーは、景気連動性の高いエネルギーなどよりは低いと言ったそういうリスク)、最後に個別株によるリスク(同じインダストリーに所属していても、個別企業の財務状況などにより設定されるリスク)などが考えられます。
これらのコンセプトを利用して、今後のShellの株価及び配当利回りがどうなっていくかを考えて行きたいと思います。
Shellの配当利回りの変化
Shellの配当利回りは、減配アナウンス前後で以下の通り変化しています。
株価(#) | 年間配当金($) | 配当利回り(%) | |
減配前 | 37.8 | 3.76 | 9.95 |
減配後 | 31.29 | 1.28 | 4.09 |
減配後の年間配当金は予想になるので、それに伴う配当利回りも予測に過ぎないのですが、何が起きているのかというと、配当金の下落(66%)に比べて、株価の下落が緩やかなため、配当利回りが落ちています。これを受けて期待されるのは以下の二つのシナリオかと思います。
- 配当利回りはこのまま
これはどういうことかというと、減配自体はネガティブなアナウンスですが、これを受けてShell の財務状況は改善され、しばらく個別株自体のリスクは低下した、またその低下したリスクに対応する分のプレミアがおよそ5%程度だったというお話です。
対して、XOMの配当利回りは今でも8%程度の状況を見ると、その差分をXOM個別のリスクプレミアとみるにはなかなか難しい(XOM自体は強靭な財務体質をもっているため)ので、配当利回りがこのままということはおそらく起きず、じきに株価の下落を受けて配当利回りが上昇していくものと考えられます - 株価がさらに落ちる
上でも少し書きましたが、Shellの発表はネガティヴなため、ここで多少なりとも売りに走る投資家が出てくるのではないかと思います。これを受けて、Shellの株価はさらに下落し、配当利回りが以前と同程度もしくは、それよりも少し低い程度までは株価が落ちると考えるのも、無茶な推論ではないかと思います。
例えば、この先配当利回りがXOMと同じ8%まで上がるとすると、Shellの株価は$16という悲惨な状況になりますが、もしかしたら売りが売りを呼んでこの辺までは売り込まれる可能性があるのかもしれません。
この先の投資行動
上記の予想を前提とすると、しばらくShellへの投資は控えた方がいいのかもしれません。ただし、コツコツと株数を積み上げることを是としている兼業投資家なので、VYMを中心としたリスクを抑えた投資は継続します。また、Shellの株に関してもある程度配当利回りが向上し、投資妙味が出てきたら改めて投資再開することになると思います。それまではエネルギー関連はしばらくはXOMになると思います。
まとめ
- Shellの減配アナウンスを受けて、配当利回りとXOMとの比較からShellの株価がどの程度まで下がると考えら得るのかを考察しました
- 配当利回りが下がってしまっているので、しばらくはShellに対する投資は停止しますが、この状況で改めて配当利回りがXOM並みになる頃には再び再開しようと思います