人類はCovid-19を克服しつつあるのではないかと言う考察

はじめに

世間ではヨーロッパの感染の再拡大や、アメリカでの第三波の拡大をみて、改めてCovid-19に対するガードが上がってきているところですが、これまでのアメリカの新規感染者数の推移を見ての考察をメモしておこうと思います。

実績から導き出せるいくつかの気づき

こんなものは、専門家の方々が日夜調べ、情報を共有し議論を進めているのかと思いますが、私が目にする情報の中では、感染が「どこでどれだけ拡大しているのか?」に注意が行き、結果からの考察があまり無いように思えるので、ここでは過去のデータから読み取れる事実を確認していこうと思います。

アメリカにおける新規感染者数の推移, New York Times, 10,18,2020

上記はNewYorkTimesからお借りしてきたこれまでのアメリカにおける新規感染者数の推移です。棒グラフは1日ごとの新規感染者数で、線がその7日間移動平均線です。ここから読み取れる事実は以下の通りです。

  1. カウントは3/1から始まっている
  2. 第一波のピークは4/4の35,099件
  3. 第二波前の底は6/7 18,205件
  4. 第二波のピークは7/16の75,682件
  5. 第三波前の底は9/7の25,169件
  6. 第三波の直近の最大値は10/16の70,451

各々の関係性を丁寧に見ていくといくつかの気づきがあります。

アメリカでの感染が爆発的に広がりだしたのが、最初に1,000件を超えた3/17の1,399件と考えると、第一波のピークとなる4/4までの日毎の平均感染者数は(35,099-1399)/18=1872.2となります。一方で、同じ計算を第二波に当てはめて行ってみると、日毎の平均感染者数は(75,682-18,205)/38=1512,5となります。つまり、第二波の方が感染者数のピークは高かったものの、感染者数の増加のペースは落ちていることがわかります。

第三波に関してはまだピークを打っていないと思いますが、今あるデータをもとに評価してみます。日毎の平均感染者数は(70,451-25,169)/38=1191.6となります。第三波の数字に関しては参考程度と捉えるのが良いとは思いますが、ここでもアメリカの感染者数増加のペースが第一波、第二波に比べて遅くなっていることがわかります。

続いて、収束の速度を見てみます。

増加のペースを確認した時と同じことを収束のペースにも当てはめます。第一波の収束の速度は(35,099-18,205)/64=263.9となり、同じく第二波の収束速度は(75,682-25,169)/53=953.0となります。

データがばらけているので、見やすいように表にまとめてみます。

直前のボトム期間中のピーク拡大日数収束日数合計日数拡大速度収束速度ピークボトム比率
第一波1,39935,0991864821872.2263.925.09
第二波18,20575,6823853911512.5953.04.16
第三波25,169(70,451)(38)(1191.6)
感染拡大フェーズごとの比較

前述の通り、第三波に関しては多分に参考としての意味合いが強いので、扱いには注意が必要ですが、第一波、第二波を比較するだけでも、違いは明白かと思います。

データの考察

改めていくつかの特徴を取り出して考察してみようと思います。

  1. 拡大日数が倍増している一方で、合計日数はさほど増えず、その差分を収束日数の減少で吸収している

    ここでは、1日あたりの平均新規感染者数を拡大速度と定義しているわけですが、これは何が実現していると考えられるかと言うと、感染者の特定・隔離及び、非感染者の公衆衛生の向上だと思います。第一波の拡大のシーンでは、公衆衛生にそれ程気を使わない人(具体的に言うと手洗いうがいをしない、マスクを着けないとかそう言うレベルだと思います)が多く感染した一方で、それを受けて、手洗いうがいの徹底や、マスク着用が義務付けられたことで感染の速度が抑えられたのではないかと思います。

    一方で、収束日数の減少は、たとえ各感染拡大の期間におけるHotSpotが別の地域だったとしても、それらの情報を共有し、感染拡大の初期に効果的な対策が打てるようになったことで感染拡大を早く止めることができるようになってきているということだと思います。

  2. 拡大速度が20%程度落ちる一方で、収束速度は3倍以上になっている

    これは、1.の後半部分に通じるところが多いと思いますが、国民の意識が感染拡大の阻止に向いたこと、国や地域としても感染拡大の初期に適切な手段を取れるようになったことで、感染収束の速度が上がっているものと考えられます。つまり、感染拡大の阻止が感染収束の速度を上げていると考えられます。

  3. 感染者数はボトム、ピーク共に増えているい方で、ピークボトム比率は1/4以下に落ちている

    この数字の扱いはなかなか難しいのですが、ここからわかるのは、やはりアメリカという国がCovid-19にどう対峙するのが効果的なのか?というのがわかってきたという話だと思います。拡大速度、拡大期間が同じだった場合、ピークはボトムの数字に依存するものの、ボトムが一桁増えた一方で、ピークは2倍程度にしかなっていない状況が見てとれ、それは一重に拡大初期から効果的に抑えることができてきているという話の裏付けと考えられると思います。

この先の展望

これらの考察を受けて、Covid-19に関して私は以下の通り考えています。

  1. ワクチン開発が進み、今までのように自由に外を出歩ける日はそう遠くないと思いますが、それと同じぐらいの速度で人類が知恵をつけ、手洗いうがいをはじめとした個人レベルの公衆衛生意識の高まりで、ウィルスと共存する術を編み出すのではないかという期待
  2. Covid-19はこの先も猛威を振るうかもしれませんが、それは第一波の時のような混乱を伴うものではなく、どちらかというとインフルエンザのような「今年も来たねこの季節」といった感じで対応することになるんだろうなと思います

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