不動産投資に関するリスクの目線について

投資をするのであれば、損失に関するリスクは自己責任で・・・というのは、よく聞きます。金融商品であれば、現物であれば、最悪元本が0、レバレッジをかけたとしても、証拠金のXX倍までとおおよそ見切れる範囲ですが、不動産投資に関しては、どのように考えればいいのでしょうか?

私の考えを軽くメモしておこうと思います。

不動産投資には、ざっとこれぐらいのリスクがあるようですが、それぞれに関してどのように考えているかをまとめておきます。

  1. 空室リスク

    いきなり本質ではありますが、これだけが投資家側がどうにかしなければならないリスクな気がします。

    賃貸なので、どのみち空室期間は発生してしまうのですが、その際、何がまずいかと言うと、賃料収入がないときにでも融資の返済は発生するので、その分の資金を手元に残しておかないと、空室が発生した瞬間に返済が滞り、強制的に資金を引き上げられてしまうことがあると言うことです。

    空室リスクに対して、考えられる対策は、1)空室期間を極力短くすることと、2)空室が発生しても、ある程度耐えられる資金を手元に残しておくことです。

    1)に関しては、不動産屋と調整しながら、さっさと入居者付をするだけなのですが、問題は2)だと思います。2)に向けて、どれだけの余資を手元に置いておくのか。これによって、資金効率も変わってくるので、かなり重要な指標になると思います。

    例えば、賃借人が平均的に更新1回の4年間借りてくれて、次の入居者が決まるまでに、平均2ヶ月かかる場合、最低でも返済額の2ヶ月分、余裕を見ると、3ヶ月分が手元にキャッシュとして残っていれば、まぁ、難なくこなせそうです。

    管理対象の部屋が増えるとどうなるでしょうか?

    単純に考えれば、各部屋の分だけ、2~3ヶ月分の余資を手元に置いておけばいいのですが、そうすると、手元の現金が増える一方で、資金効率が極端に悪くなっていくことがわかります。

    つまり、各部屋に対して、各部屋の最大リスクを見込んだ形で、現金を手元に置くことは、具体的にどう言うケースが対象になっているかというと、管理対象物件全ての部屋で、同じタイミングで、入居者からの退去通知があった場合を対象としています。

    一部屋しか管理していない場合は、もちろんその通りなのですが、複数の部屋を管理していると、それが起こる可能性は部屋が増えれば増えるほど低くなります。

    例えば、2部屋を管理している場合、48ヶ月の間に、別々の部屋で、同じタイミングで退去通知がある可能性はどれぐらいかというと、全体の組み合わせが48×48=2,304通りとなり、そのうち、退去通知が同じ月に発生する組み合わせは48通りなので、発生確率は、48/2,304=0.0208=2.1%程度と言うことがわかります。

    この、およそ2.1%のために、返済3回分の資金を二部屋分手元に置いておくかというと、そうはせずに、やはり、返済額の大きい方の金額2ヶ月分ぐらいを手元に置いておくぐらいが妥当なのではないかと、個人的には考えています。

    また、部屋がさらに増えていった場合、どうなるのでしょうか?

    三部屋の場合は、三部屋一気に退去する可能性は、同様に、48/(48*48*48)=0.00043=0.043%になると思いますが、あってますでしょうか?こうなると、もう同時に3部屋退去するケースはほぼ考えられないので、三部屋分の返済資金を手元に置いておくことは経済的に非合理的と考えられると思います。

    一方で、同時に二部屋退去するケースは、48×3=144であり、発生確率は、48×3/(48x48x48)=0.0013=0.13%になると思いますが、あっていますでしょうか?これであったとしても、任意の二部屋分の返済原資を手元に置いておくのは非合理的なため、やっぱり、返済額が最も大きい部屋の金額を基準に2ヶ月分も置いておけば良さそうだというのが私の考えです。

    この辺のシミュレーションから分かることとしては、管理対象の部屋が少ない方が、全部屋が一挙に退去する可能性は高く、運営上のリスクも高く、資金効率が上がらない状態になる。よって、運営を安定させようとした場合、ある程度まで部屋数を増やして、全室一斉退去の可能性を下げつつ、最も返済負担の大きい借り入れの返済原資を2ヶ月分程度確保しておくのが、いいのではないかと言うことかと思います。

  2. 滞納リスク

    これは、賃貸運営をしていると最も嫌な仕事ではあり、個人的には賃料の取り立てなど絶対にしたくないため、二つの策をとっています。一つ目は、比較的賃料設定が高目の物件を投資対象とすること、二つ目は保証会社を利用することです。

    1点目に関しては、収入も少なく、ギリギリで家賃を払っているところよりは、それななりに収入がないと払えないぐらいのレイヤーを狙い、ある程度モラルのあると考えられる入居者を対象とすること。

    2点目は、それでも起きてしまう可能性のある賃料支払いの遅延に関しては、保証会社を挟むことで、取りっぱぐれるリスクを減らす効果を期待し、そのためのコストとして、保証会社の利用料を負担しています。

  3. 災害リスク

    当たり前ですが、災害自体は回避できないため、物件を購入するときに、地盤と建物で評価します。ハザードマップや建物の構造の話です。ただし、建物の構造に関しては、もちろん専門家ではないため、どうやっても評価できないのですが、一般的にタワマンなどの大規模開発の集合住宅の方が、10戸程度のアパートよりも災害対策も確実にされているため、そちらを選ぶ程度のものです。

  4. 価値下落

    これはどの物件を選んだ所で、基本的には受け入れざるを得ないものだと考えています。ただし、地域による違いというのは事実としてあると思っているため、引き続き、需要の強いと評価できる地域の物件への投資を継続します。具体的にいうと、東京都の主要ターミナル駅へ電車で30分以内ぐらいで通勤できる場所でしょうか。

    また、投資で買って、実需で出る作戦のため、マーケットの状況がかなり悪くならなければ、出口で損する可能性は低いと考えています。なお、マーケットの状況が悪いのであれば、単に売らなければいいだけなので、引き続き賃貸として出しておきつつ、状況を見て売ることにすると思います。

  5. 修繕リスク

    これは価格下落と同様に仕方のないもので、経年劣化によるものなどが考えられます。マンション自体の修繕に関するものは、管理組合で十分に積み立てている物件を対象として考えている為、区分ごとの修繕が対象になるのですが、そう考えると、家の内装のリフォームにかかるぐらいの費用が、どこかで発生するぐらいの話なので、その際には、バリューアップのための追加投資として考えると、まぁ、受け取れなくない範囲かなと考えています。

  6. 金利上昇リスク

    今まではあまり評価する必要もなかったのですが、これからはローン金利が上昇する可能性があるため、こちらのリスクも考慮する必要があります。

    もちろん、変動金利で融資を受けているため、金利上昇に伴い、支払い金額が上昇することは考えられるのですが、一方で、一般的に、金利上昇は、経済の拡大を意味しているため、入居者の給与水準も上昇していることが考えられます。それはつまり、賃料を上昇させる余地が生まれるとも考えられます。よって、金利上昇した場合は、その分賃料に転嫁していくべきだと考えています。

    また、その結果、退去が発生したところで、空室リスクに対する策は最初にコメントした通り手当してあるため、それ自体は大きな問題にはならず、退去したことで、次の募集の際は金利上昇分を転嫁した賃料で募集ができるため、空室はマイナスばかりではないと考えています。
  • 上記の通り、投資家側が本質的に備えなければならないリスクは、空室リスクで、その際のコスト負担さえできる体制が整っていさえすれば、不動産投資は、あとは割と盤石な投資だろうなと思います。
  • また、空室リスクに関しても、戸数をある程度増やすことで、リスク発現時の対策にかかるコストを共有し、減らすことができるため、ある程度規模を拡大することには合理性があると考えられます。

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