変化は連続的に起こる

はじめに

古典力学の世界においては変化は連続的です。つまり、状態Aのものが次の瞬間に状態Bに移ることはなく、たとえそう見えたとしても観測の解像度を上げていくと、状態Aから徐々に状態Bに移っていくことがわかります。一方で、量子力学の世界では、変化は不連続です。状態Aのものは次の瞬間には状態Bであるかもしれませんし、状態Aのままかもしれません。

何を言っているのか訳わからないかもしれませんが、世の中そういう物だという話で、これを前提として資産運用に関して考察してみようと思います。

一括投資か、積立投資か

長期投資を志向する投資家の間では、一括投資、積立投資どっちの方がいいのか?と言う議論があります。米国株式市場の過去の実績が未来にわたって続くという想定を置いた場合、この20年、30年と同じく米国株式市場が右肩上がりで成長するのであれば、何事も考えずに全財産を一括で市場のリスクに晒し、配当を再投資することで、資産を最大化できる可能性が高いです。

一方で、長期投資といえども買うときの株価は相応にトータルリターンに影響を及ぼすので、やはり安いに越したことはありません。ただし、どんなに優れた人間でもマーケットを出し抜くことは不可能であるという前提に立つのであれば、タイミングよく底値で資金を投入することはできないため、投資タイミングをある程度分散して暴落も暴騰も込んだ上で、平均買い付け価格を下げる戦略があります。これを実現しているのが積立投資です。

どちらが良い、悪いという話ではなく、そいう取り組み方があるという話です。市場の成長を前提とした場合、今日の高値は明日の安値なので、論理的には一括投資に軍配が上がると思います。

なぜ積み立てるのか

では、その様な状況において、なぜ積立投資を私は志向するのか?これは一重に株価の上下に耐える精神力を養うためだと私は考えています。

ブログのどこかのエントリーに書いてありますが、私の現在の運用資産は分類で言うとアッパーマス層ぐらいの金額です。つまり、3,000万円から5,000万円の間ぐらいです。この状態でマーケットに調整が入って1%下落すると、一般的には月給分ぐらいが飛ぶことになります。一方で、1%上昇すると、月給分ぐらい総資産が増えます。投資家歴もそこそこ長くなったので、これぐらいはあまり気にならなくなりました。これが、先日のコロナショックの様に連日サーキットブレーカーが発動される様な感じで、30%となるとちょっと高給取りの年収かそれを超えるぐらいになってきます。これはなかなか堪えますが、それでも大丈夫です。米国市場の長期的な成長に賭けているので、この場合は逆に投資額を増やします。

この思考は一般的には受け入れ難く、1日で月給分が飛んでしまうなんて不安で我慢できない人の方が多いと思います。それはなぜかと言うと、一重に自分のリスク耐性と取っているリスクのバランスがあっていないからだと思います。

そしてこのリスク耐性こそが、少しずつ連続的にしか上げられない精神力なんだと思います。

リスク耐性の鍛え方

例えば、¥10,000投資して、日々の¥100単位の値動きに耐えられない社会人の方は少ないと思いますが、¥100,000投資して、日々の¥1,000単位の値動きが気になってしまう方はボチボチいらっしゃると思います。さらに、¥1,000,000投資して、日々の¥10,000単位の値動きが気になっていてもたってもいられなくなる方は結構いらっしゃると思います。この、どれぐらいの値動きだったら自分は気にならないのか?と言うのがリスク耐性であり、これを鍛えるためには、積立投資が最適だと私は思います。

積立額は、上記の通り始めは小さく、日々の値動きが気にならないぐらいの金額から始めて、多少慣れたところで、金額を上げていく。そうしていくと、総資産額も増え、総資産額に合わせて日々の値動きも大きくなり、徐々にそれにも耐えられる様になり、ある時に気がついたら気にするのは絶対額ではなく割合だったと言うことに気づく時が来ると思います。そしてその先、私は未だ見ぬ状態ですが、改めて絶対額も気になる時が来るそうです。1日で数千万円飛ぶという世界観です。

一方で、この過程を経ずに、普通預金で貯めた虎の子の¥1,000,000を一気に投資に回すと、リスク耐性のない状態で毎日¥10,000単位の値動きが発生し、これに耐えられなくなり底値で売り払ってしまい、損失を確定させてしまうということが起きるんだと思います。こうなると、¥1,000,000を貯めるためにかけた時間も含めて最終的に投資で大きな損をしたことになるので、やっぱり投資はダメだという思考になり、その先、投資に戻ってこられなくなってしまうんだと思います。

これを避けるためにも、今ある普通預金はさっさと証券口座に移して、預金で積み立てようと思っている額を投資信託の自動買い付けの設定を行い、その金額を自分の給料日に給与口座から自動で引き落とす設定を行い、あとは忘れて寝ると言うのが投資を始めたばかりの方々には最適な投資戦略だと思います。また、これに加えて半年に一回ぐらい証券口座を確認し、その含み損益をみて自分は大丈夫なのか?ダメなのかを確認しながらリスク耐性を確認する作業を繰り返すと、自分にとってここまでなら大丈夫と思える場所が見えてくると思います。そうやってリスク耐性を徐々に高めて、より大きな金額を株式市場で運用できる様になると資産形成の速度が格段に上がると思います。

まとめ

  • 今回は、積立投資の大きなメリットとしてのリスク耐性の向上に関して記載しました
  • 投資は適切にリスクを管理して始めれば特別なことではなく、資産形成には最適なツールとなります
  • リスク耐性を高めるには時間がかかるので、迷っている方は少額から積立投資を始め、自分の心の動きを観察しながらできるだけの多くの金額を積み立て、資産を増やしていくとトータルでは効率的かとおもいます

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