はじめに
駐在開始間際に東京でマンションを買ってしまった私には、大量の住宅ローンが残っているのですが、なかなか円高にならないので、日本にあるちょこっとだけまとまった円で繰り上げ返済などをしようかと思い、シミュレーションをしたところ、その金利の安さに返済する意思を打ち砕かれたというお話です。
金利0.4%の暴力
私の借りている住宅ローンの金利は、ネット専業の銀行で借りているのでほぼ最安値なのですが、試しに0.4%と言うことにして考えてみました。
私は無謀にも、30代後半で35年フルフルのローンを組んだため、完済は205X年だったと思います。この状況で、私にとってのリスクは、仕事を引退した後も続くローンの支払いなので、これを無くすべく、「期間短縮型」で繰り越し返済をシミュレーションしました。
これは、つまり、ローン年限の終わりの方(205X年)から、現在に向かってその支払いを先に済ませてしまおうというアプローチです。そうすることで、例えば、仕事を引退するであろう、65歳までの期間にローンを短縮できれば、心理的な負担はかなり減ります。
と言うことで、以下の条件でシミュレーションをしてみました。
- 繰上げ返済額は100万円
- 100万円のうち、20万円はボーナス部分への返済
- 金利は0.4%
この計算をする際に重要なのは、30年後に100万円になるX円を借りるのに、私は30年間でその利子としていくら支払うのか?という観点です。
今借りるお金を返済する時に、トータルでいくら返済しているのか?という、時間を前に進む概念は比較的分かりやすいものですが、これをさかのぼるのは、日常生活ではあまり触れることのない概念なので、分かりづらいかもしれませんが、結局のところは、数式の右辺と左辺です。
結果、何が起きるかと言うと、こんなことがおきました。
100万円返済の内訳は、元金999,564円、利息436円・・・。
ちょっと目を疑いたくなりますが、これが私が契約している住宅ローンの実力です。
この数字には二つの評価があると思います。
一つ目は、繰り上げ返済した100万円のうち、ほとんどを元金の返済に利用できるので、気持ち的に楽になる。と言う観点と、今手元にある999,564を30年ぐらい運用しても436円しか増えないと言う観点です。
例えば、アメリカ経済の調子がちょっと落ちて、この先30年平均で4%程度の成長しかしなかったとした場合、今日VTIなどを999,564円分購入した場合、30年後には凡そ3,242,000ぐらいになっています。
この瞬間に999,564円を繰り上げ返済した場合、確定利益が436円なのに対して、同じ金額をVTIで運用した場合、2,242,000程度の利益を得ることが期待できます。そうなると、もはや私には繰り上げ返済をする意思は全く無くります。
100%の確率で436円を稼ぐか、リスクはあるが、2,242,000を稼ぐか。
私は後者をとります。
「誰もが繰上げ返済をすべきではない」と言う主張ではない
上記の通りなので、今のところ私は繰上げ返済をするつもりはありませんが、ざっと考えたところで、繰上げ返済をすべきシーンは二つあると思います。
- 毎月の返済がきつい
そもそもの計画の段階で破綻している様な気もしますが、月々の返済が滞るまで行かなくても、ちょっときついなと思い出している人、もしくはきつくなりそうだなと思っている人は、毎月の支払いを減らすためにも繰上げ返済をした方がいいと思います。
これは単純に月次のキャッシュフローが限界にきてしまった場合、最終的にはローン返済が滞ってしまう可能性が高いので、そうなる前に毎月の支払額を減らすためにも、手元に資金があるうちに、繰上げ返済をして元本を圧縮した方がいいと言う考えです。 - 個人の信用枠を回復したい
こちらは、不動産投資を主にされている方や、住宅ローンを使って、もう一軒購入したいと思っている人は、その与信枠を回復するためにも、繰上げ返済をして完済した方がいいと言う話です。
与信枠の設定は、個人の属性や、不動産投資化としての実績など、いろいろな情報によって決まると思うので、一概には言えませんが、借り入れがあると残りの与信枠が縮んでいることだけは確かなので、それを回復するためには繰り上げ返済と言う話です。
まとめ
- 住宅ローンの繰り上げ返済のシミュレーションをして、返済する意思を砕かれた話を書きました。
- これはあくまで、私はこう考えると言う話であって、これが万人に対して適用すべき考え方とは思っていませんので、あしからず。