はじめに
先日、算術平均と幾何平均に関して簡単にメモをしておきました。実は、これに加えて、もう一つよく使われる加重平均というものがあるので、これに関してもメモしておこうと思います。
大きさに合わせて平均に与えるインパクトを調整するのが加重平均
世界で一番有名な加重平均の利用方法は、おそらくS&P500なのではないかなと思います。
経済に興味がある人は確実に知っている一方で、日本だと知らない人もいるかもしれませんが、それでも日本で日経平均と言われて聞いたことがない人はいないだろうと思うのと同じぐらい、S&P500は毎日アメリカのニュースで取り上げられます。
ただ、私自身、S&P500の導出方法を知っているわけではないので、ここではこれ以上は触れず、WACC:Waighted Average Cost of Capitalを例にとって説明してみようと思います。
WACCは会計、財務などを勉強すると出てくる概念で、その企業や組織が資本を調達する際にいくらのコストが必要なのか?を示す数字です。
例えば、とある会社Aが全ての資本を金融機関などからの借入で済ませたとし、その利息が1%だった場合、この会社Aは資本を借り入れる際に、借り入れた金額の1%を費用として支払うことになります。
一方で、借入先を複数にして、銀行1と銀行2の両方から借りた場合、利率が同じであれば良いのですが、銀行1は1%で融資をしてくれて、銀行2は2%で融資をしてくれた場合、結局この会社Aは利率何%で資本を調達することができるのでしょうか?
また、会社Bは銀行1、2それぞれから1%と5%で融資をしてもらえた場合、投資家から見た際に、どちらの方がより良い条件で資本を調達していると考えられるでしょうか?
これに応えるのが、WACCであり、資本調達利率の加重平均となります。
以下の条件を設定してみます。
会社 | 銀行1の利率 | 銀行1からの借入額 | 銀行2の利率 | 銀行2からの借入額 | 総借入額 |
A | 1% | 100万円 | 2% | 100万円 | 200万円 |
B | 1% | 100万円 | 5% | 10万円 | 110万円 |
会社A,BそれぞれのWACCを計算してみましょう。
会社AのWACC=(100万x1.0% + 100万x2.0%)/(100万+100万) = 1.5%
会社BのWACC = (100万x1.0% + 10万x5.0%)/(100万+100万) = 0.75%
と言う結果になります。
会社Bの方が、借入条件の悪い銀行2からの借り入れが少ないため、トータルでみた時、つまり、今調達してある資金の調達コストの平均で考えた場合、会社Bの方がより安いコストで資金を調達していることがわかります。
もちろん、会社AとBが銀行1、2から同じ金額だけ借り入れをした場合、銀行2の利率が高い分、会社Bの方がWACCが高くなり、会社Aの方が資本効率が良いという結論になります。
この計算方法のことを、加重平均と言い、算術平均、幾何平均と同じぐらいよく使われる平均の方法です。
冒頭でコメントしたS&P500は時価総額加重平均なので、S&P500にリストされている企業の時価総額(株式数x株価)を全て加算し、それにおける当該企業の割合を株価に乗じたものを全て加算した値ということなんだろうと思います。
こうすることで、各企業の株価の単価は指数の増減に影響を与えなくなる(と思うけど、検証はしていません)ので、全ての企業の盛衰が、その時価総額の割合によって反映されることになり、よりフェアな指標と考えられる様です。
まとめ
- 3つ目の平均の取り方として加重平均の方法をメモしておきました
- 何かのテキスト等を参照しているわけではないので、細かいところで間違っているかもしれませんが、概ねあっていると思います
- 計算自体は、中学生の範囲でもできますが、概念を習得したのは高校数学だったと思います
- これもまたですが、やっぱり金融教育を義務教育に、、、というのはちょっと筋が悪いでしょうね。