はじめに
有配の成熟企業に投資するのか、無配の成長企業に投資するのか?この議論は至る所で繰り広げられており、どちらがいいのか?という話ではなく、どちらが自分にあっているのか?という話なのかもしれません。今回は、これに関する自分の考えをメモしておきます。
最大の違いはいつ、どこで課税されるか
難しいことを抜きにして、話をシンプルにすると、結局はいつ、どのタイミングで課税されるのか?という話に尽きます。これは、世の中には企業の利益を分け合う優先順位があるということです。
簡単にいうと、1位は債権者(お金を貸している人)、2位は国や自治体などで、税金という形で分け前を払います、3位かつ最後が株主で、この人には企業の内部留保の寸前の利益から分け前を払います。
これを頭に入れた上で、各々のケースを見てみます。
成熟企業のケース
成熟企業は安定的に利益を上げられる状況になっており、追加の投資が必要にならないため、利益を冒頭で触れた3者で分け合うことになります。
まずは債務者にお金を貸してくれた代わりにその利子を支払います。その後、利子を支払った後の利益額に応じた税率で、税金を納め、最後に配当として投資してくれた人々に分け前を支払います。また、その後配当を受け取った人々は、それを収入としてカウントするため、各々収入の額に応じた税金を再び自治体に支払うことになります。
ということで、企業の利益の段階と個人の所得の段階で2度税金を支払うことになります。
成長企業のケース
一方で、無配の成長企業のケースでは、まだまだ設備などに対して投資が必要になるため、そもそもの利益が小さくなります。これは、特に不思議なことはないと思いますが、利益からコスト(投資を含む)を引いたものがざっくりと利益と考えると、投資が多いほどコストが多くなり、利益額が小さくなります。仮に、成熟企業、成長企業双方で売り上げが一緒であれば、投資が多い成長企業の方が利益が少ないという話です。
この状態で、債権者に利子の支払いをして、あるかないかわからない利益に対して法人所得税などを支払い、最終的に投資家に利益は還元せずに、今季の利益は来季の投資の種銭にする。そんな感じです。故に、企業にかかる税金もほぼ0で、配当収入を通して個人の所得にかかる税金も0になります。
この様に、無配の成長企業への投資に関しては税制面で見ると税金がほとんどかからないという利点があり、これが税金の繰延効果と言われるものです。
Pros and Cons
もちろん、双方ともにいい点、悪い点あるのですが、代表的なポイントは以下の通りです。
Pro | Con | |
有配成熟企業 | ・こまめに利益を確定できる | ・利益確定の都度税負担 ・再投資の手間 |
無配成長企業 | ・再投資の手間が不要 ・税金の繰延効果 | ・利益が確定されず、場合によっては全てが吹っ飛ぶ可能性もある |
これをどう捉えるか?によって、どちらの投資スタイルをとるか?が変わります。例えば、有配成熟企業への投資は、MO、XOMなどのDJIにリストされている連続像は以降配当銘柄への投資をすることになり、無配成熟企業への投資は例えばAmazonなどがその代表例にあたると思います。
私の考え方
何の企業にしても、優れた経営者が大きな利益を上げてくれていることには変わらず、どちらに投資しても長期で見れば最終的には報われるのだろうと思います。そう思うと、税金の繰延効果を考慮すると、無配の成長企業に投資した方がより多くの利益をあげられるのだろうと思いますが、個別企業の場合は一定の確率で倒産や経営の不祥事などが発生したりします。
一方で、私個人の性格を考えると、株を売却しないと実現しない利益をいつまでも抱えておくのはなんとも忍びないというか、それは自社の持株会だけで十分かなという思いもあり、米国株投資に関しては、有配成長企業に対する配当再投資戦略をとってひたすら細かな利益確定をしつつ、持ち株数を増やしていいます。
まとめ
- どちらの戦略をとったとしても、選定を間違えなければ長期で見れば株式投資は報われる可能性が高いです。
- 税金を払ったとしても、実現利益を積み上げたい私の様な人は有配成熟企業への配当再投資戦略があっているかもしれません