はじめに
言語の習熟度を定義するには、何らかの試験を受けて、その結果からどの程度その言語を理解し、運用する能力があるのかを特定するのが一般的かと思います。
一方で、試験では測れない指標があるのも事実で、その一つに即興での笑いがあると私は考えています。それに関して、ここにメモをしておきます。
ポカーンとされても差し込み続けることで、いろいろと鍛えられることがある。
日本語でもそうですが、ちょっとした小ネタを挟んだところで、相手に真意が伝わらないとか、ネタが面白くなかったりすると、独特の間ができることがあります。私が若いころは「しらける」と言っていましたが、最近は使わなくなったなと今思いました。
これって、ちょっと不安になりますよね。
特に、日本語の場合は相手とバックグラウンドを共有して、その上で、差し込んでいるので、それに伴うリアクションが薄いってことはつまり、そのネタが詰まらなかったことであり、それによって、つまらんやつという印象を与えてしまうので、それはちょっと不安ですよね。
これを英語というか、母語以外の言語でやるとどうなるでしょうか?
一般的に、ハードルは著しく上がるんじゃないかと思います。
そもそも、ちゃんと相手と話している内容を理解し、適切なタイミングで、相手に伝わるように自分のネタを差し込み、それでいて、相手に笑ってもらう。確かに難しそうですね。
ただ、私がここで思う一番のポイントは、実は私たちは英語は母語ではなく、第二言語だという点です。
こういうシーンでは、これはとてもいい方向に働きます。なぜって、自分たちのことに当てはめてもそうだと思いますが、その言語を母語として話している人たちは、私たちのつたない第二言語でも意識してその意図をくみ取ろうとしてくれます。
なので、たとえ言っていることが100%伝わらなかったりしたところで、あまり問題ではなく、行間は向こうが埋めてくれます。むしろ、第二言語でそんなネタを差し込んでくる人を見ると、きっと仲良くなりたいと思うはずです。
ということもあり、私はいろいろなところで、気づきがあるとすかさず英語でボケをかまします。
これをやると何が鍛えられるかというと、
- 相手の話を理解し、その流れを読む
- 適切なタイミングでとっさに自分の意見を相手に伝わる形で、かつシンプルに伝える
- 伝わらなかったとしても挫けない心
- 意外に面白いやつだという周りからの印象
です。
周りにこんなことを考えている日本人が多い場合、差別化要素にはならないので、Impressionを残すことは難しいのですが、いなかった場合はとにかく印象だけは残すことができるようになります。
先日差し込んだネタ
先日私の所属している組織でCompany Eventなるものがあり、みんなでランチを食べた後に、近くにある設備でExhibitionを見に行きました。
場所についたところで、引率を務めていた社員から一言、「残念だけど、食べ物は持ち込めないので、1)係の人のオフィスに預ける、2)廃棄する。どちらかにしてくれ。」と言われました。
そこですかさず私が追加したオプション3は、「もしくは私の胃の中へ。」という一言です。
日本で日本語でこんなことを言ったとしても誰も笑わないかもしれませんが、アメリカで日本人が英語でこれを言うとどうやらウケルようでした。
この時も、最初に言ったときはうまく伝わらなかったようで「はん?」と聞き返されましたが、そんなことはみじんも気にせず、改めて「もしくは、私の胃の中へ。」とダメ押ししてやりました。
状況が呑み込めたようで、そこにいた30名の皆さんから失笑を含む暖かい笑いをいただくことができました。
疑いようもなく、とてもくだらない話なのですが、それでも自分も簡単な英語で人を笑わせられるようになったなと思うと、少しずつ英語の使い方がうまくなってきているのかもしれないなと思います。
まとめ
- ある種とてもくだらない話なのですが、言語利用にかかる一つの達成度のはかり方として、「その言語で笑いをとれるか?」を提起してみました
- 実際のところ、ハードルが高いのか低いのかは人によると思いますが、応用範囲の広いトレーニングだとは思いますので、興味がある方はやってみると良いかもしれません。