駐在員としてどうパフォーマンスを出すか

はじめに

日系企業の海外駐在員は、主に二種類に分かれると言う話を聞きます。一つは、駐在期間をそれなりにやり過ごし、それなりに帰国していく人。もう一つは、駐在期間も日本にいる時と同様にバリバリに成果を出して、結果を残していく人です。私は後者を目指して日々仕事をしているのですが、この差がなぜ生まれてしまうのか、に関してメモしておこうと思います。

駐在員のプロフィール

日系企業の駐在員の標準的プロフィールというのは私にはわかりませんが、私の見ている感じだと、私の所属している組織の駐在員は、もちろん多少の意志の確認はあったものと思いますが、自分から志願してどうしても駐在したくてきたわけではないのだろうなと思います。

例えば、とある会社であればTOEIC何百点以上なら駐在員の候補になるとかいった話もあるようですが、私の所属する組織は残念ながらほとんどの人が英語を喋ることができません。なので、私と同じくアメリカに駐在している人も同じような感じなのだろうと思います。

一方で、私がアメリカで所属している組織に関しては、1/3ぐらいが駐在員で、残りが現地雇用の社員といったぐらいで、割りに駐在員が多く、数名のVPを除いてはCEOを含む主要なポジションは全て駐在員が占めているという状況です。

気をつけるべきことは何か

このような組織に置かれて、何か物事を進める際に気をつけるべきことは何なのか。このような状況下で、リーダーとして物事を進める際に気をつけるべきことは何なのか?日本にいた時も気がついてはいたのですが、私はこれをIMDで学んだのだと思います。

それは、相手をプロフェッショナルとして尊重し、その仕事に敬意を払うということだと考えています。

ローカルのメンバーからすると、いかにその会社がどこかの会社の子会社、孫会社であろうが、大切な自分のキャリアの一ページであり、これまで積み上げたものの結果として今のポジションや待遇があります。一方で、駐在員は日本との繋がりも深く、ローカルのメンバーとは違った論理で物事を動かさなければならないこともあります。こういいうシーンで、いかに相手とちゃんとコミュニケーションをとって、お互いの立場を尊重した上で、物事をどう進めなければならないのかを、双方で納得できるまで議論する。それがとても重要だと私は考えています。

駐在員に必要なものは何か

上記の通り、相手のことをプロフェッショナルとして尊重し、その上で海外で、第二言語で、組織にとって正しい方向に物事を進めるには、対象国の文化や言語に関する深い理解が必要になります。

駐在員にはそういった素養が求められると私は考えますが、もちろん駐在する全ての人がそんな素養を備えているわけはなく、では、最低限何が必要なのか?というと、やはり相手を尊重する気持ちと、自分の意志を伝える努力をすることなんだろうと思います。

アメリカにいる時に英語で仕事をするのは当たり前で、もちろん最低限喋れるようになってから赴任するべきですが、私の感覚では、語学力という点においては、日本で到達できるところもたかが知れており、そこまで来てしまったら、あとはいかにそれを使う中で磨いていくかだと思っています。

そこで、拙いながらも自分の思っていることを相手に伝える意思を示せるかどうか、相手の主張を理解する意思を示せるかどうか、ひいては、それがコミュニケーションの始まりであり、相手をプロフェッショナルとして尊重するということにつながると思います。私はこれを、「自分自身もローカルとして生きる」ということだと捉えています。

一つの組織に、目的が異なる複数の立場の人がいると大体物事はまとまりません。海外現法には、駐在員と現地採用という二つの異なる立場の人がいます。また、駐在員は得てして英語で意思を伝えるのが不得意で、場合によっては、重要なことをローカルの日本人を通訳代わりにして、マネージメントへ伝えようとします。そして、マネージメントに伝わったときにはそれが本社の意向だからとか、決定事項だからとか、そんな感じで伝わってしまうと、それはローカルのマネージメントからすると、ともすれば自分の存在を否定されていると思われかねない事態で、とても相手をプロフェッショナルとして尊重しているとは思えない態度と取られかねません。

こういった、コミュニケーションの問題を起こさないために重要なのは、詰まるところ、相手を尊重し、自分の意思を伝える努力をするということだと私は考えています。

パフォーマンスを出せない駐在員はつまり

せっかくの駐在の機会を得られても、思うようなパフォーマンスを出せない日本人駐在員の、根本的な原因がコミュニケーションにあるであろうことは私には明白で、それを乗り越えてパフォーマンスを出せるようになるためには、ローカルとして仕事をし、コミュニケーションを取り、ローカルスタッフの仲間として受け入れてもらえるようになるのが第一歩かと思います。

ここで躓くと、日本から誰かが来た時に接待をするだけの要員に成り下がり、何年間かの駐在員生活を波風立てずにやり過ごすことに主眼を置いてしまい、ローカルスタッフとの関係性も良くならず、ましてや言葉も喋れるようにならないままで帰国の途につくことになるのだろうと勝手ながらに想像します。

まとめ

  • 巷では二種類いると言われている駐在員の違いに関して今感じていることをメモしておきました
  • これは、ローカルスタッフからの私のチームへの評価とその他チームへの評価をもとに考察しているので、少なくとも私の所属している組織に関しては当てはまると思いますが、どこでもそうかと言われるとそうではないケースもあると思います
  • でも、突き詰めると原因は、自分の中で駐在員とローカルと言う線引きをしてしまうがために、うまくコミュニケーションがいかないことなんだろうと思います
  • 近々駐在をする予定の方の参考になればと思います

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