資産形成の考え方

はじめに

日本では資産形成、もしは貯蓄と言うと主に預貯金や定期積み立てなどが主な選択肢に入り、これらはリスク0と考えられていると思います。一方で、株式投資やREIT、債権への投資などは元本を割るリスクがあるために、リスクのある商品と考えられています。ここでは、いち兼業投資家として色々とある投資先の中からどうやって資産形成をするのが良いのかを考えます。

リスクの考え方

以前書きましたが、私はお金の使い方を3種類に分類して考えています。その中で、資産形成につながるのは「投資」に分類されるお金です。毎月定期的に入ってくるこのお金でどのようなリスクを負いながら資産を増やすのが良いのでしょうか?

Finance関連でリスクと言うと、これは危険性ではなく、平均リターンからのブレ幅を表します。つまり、ある金融商品の平均的なリターンが3%で、リスクが10%の場合、1万円をその商品に投資した場合、1年後は103万円になっている確率が一番高く、およそ95%の確率で103万円±20%、およそ123万円〜82万円の間に収まります。細かい解説は省きますが、確率論における正規分布(別名ガウス分布)における平均値と標準偏差の考え方です。これがリスクに関する基本的な考え方です。

インフレの考え方

日本経済は長らくデフレから脱却できずにもがいているので、インフレを考慮する必要はあまりなかったのですが、諸外国はそうではなくここアメリカでも適度なインフレは起きているので、資産形成を考える時はインフレを考慮する必要があります。

インフレとは、簡単に言うと物価上昇のことなのですが、それは貨幣の価値が減価することを意味します。

例えば、アメリカのインフレ率が2%だとすると、今$1で買えるCoka Colaは来年は$1では買えず、$1.02になっていると言う話、もしくは$1で買うには少し量を減らさなければならない。という話です。これはつまり、$1の価値が下がったため、同じ量を買うには少し多くお金を払う必要がありますし、同じお金では去年より少ない量しか買えないと言うことを意味しています。

これがインフレに関する基本的な考え方です。細かい部分はほとんど無視していますが、概念としてはこれで十分です。

リスクフリーの資産形成

上記、リスクの考え方とインフレの考え方を考慮すると、リスクフリーの資産形成とは、元本保証のことではなく、インフレ率と同じだけ資産が増える様に運用することであることががわかります。つまり、日本では長いことインフレが起こっていないため、元本保証、利率ほぼ0%の定期預金でも円の価値は毀損しないためリスクフリーと考えることができます。しかし、一度インフレが起きると資産の価値はインフレ率で低減していくため目に見える数字は変わらなくても、時間と共に資産は減っていくことになります。

では、本当にリスクフリーな資産形成はどうやったらできるのか?答えは国債への投資になります。国債に投資している限り、その資本はその国の経済成長を織り込んだ形で増減するため、償還時の購買力が減価していることはありません。つまり、今年$1で買えたCoka Colaが来年$1.02になっていたとしてもそれを買うに値する$1.02を投資家は持っていることになります。

リスクとともに資産形成をする

さて、基本的にお金持ちになっていつかは経済的自由を得たいと思っている私の様な人は、ここでふと疑問が湧きます。リスクフリーの運用をしているだけでは、自分の入金力の関数でしか資産が増えないため、経済的自由なんかは夢のまた夢なんじゃなかろうか?と。

そこで、それを超える勢いで資産を形成するためにリスクをとって各種投資を始めることになります。ここでこの「勢い」を実現するのが、他でも無い株式投資を中心とした各種投資を始めることで得られる、リスクを取った結果のプレミアとして元本評価額の増加と配当です。リスクフリー以上のリターンのうち配当を再度投資に回す(これを配当再投資などといったりします)ことで、自分の入金力の関数に配当による指数関数を加えることで「勢い」がつきます。

この「勢い」は最初のうちはとても小さく、ほとんど吹けば飛ぶほどのものなのですが、例えば20年以上の長期で考えるとこれが驚くほど効いてきます。

例えば、配当利回り5%の商品は1万円の投資が2万円になるのに20年の期間を要します。一方で、配当を再投資すると、初期投資の1万円が2万円になるのに15年程度の時間しかかかりません。また、サラリーマンとして得られる収入を積立と言う形で定期的に入金していくと、1万円の投資を倍にするのには2年しかかからず、20年間これを継続した際にはどうにもしがたい差がついています。参考までにグラフにしてみました。

複利で毎年1万円積み立てると20年後には35万円弱まで育ってしまいます。単利+積立と複利+積み立てを比較しても10%程度の差があることがわかります。シミュレーションは1万円/年の積み立てですが、投資額が増えれば増えるほどその絶対額は増えることになるので、複利+積立のパワーが窺い知れるかと思います。

しかし、ここでふとした疑問が湧くものかと思います。「とは言っても、株式って元本割れる可能性あるよね?」と。その疑問は正しいけど間違っています。短期的に見るともちろん株式の評価額は上げ下げを繰り返し、みなさん一喜一憂することですが、長期で見ると株価は右肩上がりです。特にその国の経済の状況を表す様な指標(アメリカであればDowやS&Pなど)は右肩上がりです。いろいろな研究がある様ですが、20年以上の長期においては、平均6−7%程度の成長をしている様です。「でも、日本はデフレでいまだにバブルでつけた日経平均の最高値を超えていないし・・・。」なので日本は捨ててアメリカに投資します。

と言うことで、私がたどり着いた私の様な一般人でもできる投資スタイルは、以下の様なものになりました。

  1. 長期運用を前提とする
  2. 配当は再投資し複利の力を借りる
  3. 毎月の投資額を決定しこれをひたすら死守する
  4. 投資のKPIは元本の増加ではなく、保有株数の増加と配当収入の増加

まとめ

色々と書いてしまいましたが、言いたいことは以下に集約されます。

  • 預貯金にリスクが無いと言うのは実は正しくない
  • 資産形成の速度を上げたければ定期的な入金と配当再投資を使って複利の力を最大限に利用する

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